クリニックを開業する際、立地選びと同等に重要となるのが「物件の賃貸借契約」です。テナントを借りて開業する場合、主に「普通借家契約」と「定期借家契約」のどちらかを結ぶことになります。
クリニックの経営は長期にわたるため、契約形態の違いを正しく理解していないと、将来的な移転や不測の事態による閉院の際に、想定外のコストやトラブルを抱えることになります。本記事では、クリニック開業における普通借家と定期借家の違いや、契約締結前に見落としてはならない実務上の注意点について解説します。
まずは、両者の法的な性質の違いを把握しておくことが重要です。
「普通借家契約」は、契約期間が満了しても原則として自動的に更新される契約です。貸主側から更新を拒絶するには借地借家法に基づく正当な事由が必要となるため、借主(医師)の権利が強く保護されており、長期間同じ場所で安定して経営を続けたいクリニックにとって有利な契約形態と言えます。
一方、「定期借家契約」は、定められた契約期間が満了すると契約が確定的に終了し、更新されません。引き続きその物件を利用したい場合は、貸主との合意のうえで「再契約」を結ぶ必要があります。将来の建て替え計画があるビルや、テナントのブランド価値や構成比をコントロールしたい好立地の商業施設・医療モールなどで多く採用されています。
一般的な不動産のセオリーでは「借主に有利な普通借家を選ぶべき」とされますが、東京都内の主要駅近辺や集患力の高い医療モール、新築の医療ビルなどでは、ビルオーナー側の意向により「定期借家契約」で募集されるケースが少なくありません。条件の良い物件を確保するためには、定期借家契約の特性を理解し、リスクの対策を行う必要があります。
事業用の定期借家契約において最も注意すべきなのが「中途解約の制限」です。普通借家であれば数ヶ月前の予告で解約できるのが一般的ですが、事業用定期借家は原則として期間中の中途解約が法的に認められていません。
万が一、経営上の理由や院長の体調不良などで閉院を余儀なくされた場合でも、契約書に特段の定めがない限り、残りの契約期間分の賃料支払い義務を免れることは困難です。これを回避するためには、契約を締結する前に「〇ヶ月前の書面通知により中途解約できる」といった「中途解約特約(解約権留保特約)」を必ず交渉し、契約書に盛り込んでおくことが不可欠です。
では、普通借家であれば完全に安心かというと、そうではありません。普通借家契約の場合、数年ごとの更新のたびに「更新料」が発生するケースが多く、長期経営において継続的なランニングコストとなります。
また、両方の契約形態に共通する最大の注意点が「退去時の原状回復義務」です。クリニックのテナント契約では、退去時に内装や設備をすべて解体し、入居時のコンクリート剥き出しの状態に戻す「スケルトン戻し」が求められることが一般的です。医療施設の内装解体や設備撤去には多額の費用がかかります。将来の負担を軽減するため、退去時に次の医師へ内装や医療機器をそのまま引き継ぐ「居抜き退去」の承諾を事前交渉しておくのも一つの有効な手段です。
賃貸借契約の交渉において、もう一つ重要なのが「フリーレント(家賃無料期間)」の獲得です。クリニックの開業には、内装工事や医療機器の搬入、スタッフ研修などに数ヶ月を要します。この準備期間中も通常の家賃が発生すると、開業前の初期費用が大きく膨らんでしまいます。工事期間中の家賃を免除してもらうフリーレント交渉は、キャッシュフローを安定させるために非常に重要です。
また、物件の設備要件についても契約書の記載と実態をすり合わせる必要があります。例えば、休日の急患対応や夜間診療を想定している場合、「ビルの空調やエレベーターが土日や夜間も稼働するか」「看板の設置スペースと月額使用料はどうなっているか」など、クリニック特有の運用要件が契約上クリアになっているかを細かく確認しましょう。
クリニックの物件契約は、中途解約の可否、退去時の原状回復要件、工事期間中の家賃発生など、一般的な住居やオフィスの契約とは異なる複雑なリスクを含んでいます。物件を紹介してくれた不動産仲介会社は、必ずしも医師側の経営リスクを考慮して、大家側と厳しい条件交渉を行ってくれるとは限りません。
そのため、立地の良さや家賃の安さだけで契約書にサインするのではなく、クリニック特有の不動産実務に精通した専門家を交えてリーガルチェックを行うことが重要です。当メディアでは、物件選定や不動産契約のサポートを含め、開業支援を行っている東京エリアの各社を調査し、特徴をまとめて紹介しています。生涯を左右する重要な契約を安全に進めるためのパートナー選びにお役立てください。
引用元:なの花東日本公式HP(https://www.msnw-kaigyou.jp/)
引用元:PHCメディコム公式HP(https://www.phchd.com/jp/phcmn)
引用元:アプト公式HP(https://www.iinkaigyo-navi.net/)
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2022年3月17日時点「クリニック開業 東京」「医院開業 東京」とGoogle検索して表示された59社の中から、本格的な診療圏調査を無料で提供している会社の内、3社を以下の理由により選出。
なの花東日本(メディカルシステムネットワークグループ)…該当企業の中で唯一、開業のコンサルティング費用が無料で、自社でテナント(医療ビル・モール等)を企画開発している。
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