クリニックを開業する際、あるいは既存のクリニックを運営していくうえで、「院内処方」と「院外処方」のどちらを選択するかは、経営の健全性や現場の業務効率を大きく左右する重要な意思決定です。現在、国の進める医薬分業の潮流もあり、全国の処方箋受取率は8割を超える高い水準に達しています。
多くのクリニックが院外処方へ移行、あるいは最初から前提として立ち上げる背景には、財務や労務における明確なメリットがあるからです。しかし、単に処方箋を外に出すだけではなく、実務上の注意点や最新の制度改定に伴うリスクも存在します。本記事では、院外処方への移行がもたらすメリットと、失敗を避けるために押さえておきたい注意点について解説します。
クリニックが院外処方を選択で特に大きいメリットは、医薬品の「在庫リスク」から完全に解放される点にあります。院内処方の場合、多様な処方に対応するために多額の医薬品を常に抱え込む必要があり、薬価改定に伴う差損(逆ザヤ)のリスクや、期限切れによるデッドストックの廃棄コストが手元のキャッシュフローを圧迫する要因となります。これらが一切なくなることは、財務の安定化に大きく寄与します。
また、労務面における負担軽減も見逃せません。薬剤師の採用難や人件費の高騰が深刻化する中、院外処方に移行することで調剤に関わる人件費や採用の手間を大幅に削減できます。看護師や医療事務スタッフが調剤補助業務に追われることもなくなるため、本来の業務である診療補助や受付、接遇にリソースを集中させることが可能となり、院内の労務環境の改善やトラブルの未然防止に繋がります。
経営上のメリットが大きい院外処方への移行ですが、実際の切り替え実務においてはいくつかの注意点があります。その一つが、移行期における「残存医薬品の処分」です。
院内処方を完全に廃止する際、それまでストックしていた大量の医薬品在庫をどのように処理するかが課題となります。これらを単に廃棄処分してしまうと、そのままクリニックの純損失となってしまいます。損失を最小限に抑えるためには、近隣の調剤薬局や医薬品卸と事前に交渉を行い、在庫の引き取りや返品の調整をスムーズにかける実務的な交渉力が求められます。
院外処方に切り替えることで、それまで薬架や分包機、薬用冷蔵庫などが置かれていた院内の「調剤室」のスペースが不要になります。この空いたデッドスペースをどのように有効活用するかも、院外移行の大きな魅力です。
例えば、調剤室だったエリアをリフォームし、第2診察室の増設や処置室の拡張、あるいは物販スペースやリハビリ室へと転用することで、クリニックの診療効率や患者の利便性を向上させることが可能です。ただし、院内のレイアウト変更は構造設備の変更にあたるため、事前に保健所への構造設備変更届などの行政手続きを適切にクリアする必要があり、リフォーム設計と手続きのタイムラインを連動させるプロジェクト管理が不可欠です。
実務上のもう一つの盲点が、近隣薬局とのリレーションシップです。安易に「目の前の物件に薬局を誘致すればよい」と考えていると、思わぬリスクを抱えることになります。2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定において、特定のクリニックへの処方箋集中率が極めて高い新規開設の薬局に対し、調剤点数を大幅に減算する「門前薬局等立地依存減算」が新設されました。
この減算制度は、制度改定以降に新しく開設(開局)する薬局が主な対象となります。そのため、これから新規開院するクリニックの門前に新しく薬局を誘致する場合、その薬局が最初から厳しい採算性に直面するリスクが高くなります。薬局側の経営が成り立たずに早期撤退してしまうと、患者の利便性が低下し、結果として自院の集患にも悪影響を及ぼしかねません。将来にわたり安定して自院の患者を任せられる、経営体力の高い調剤薬局パートナーを見極め、適切な関係を構築することが重要となります。
クリニックの院外処方への移行は、財務の健全化や労務ストレスの軽減において非常に効果的な選択肢です。しかし、移行期における医薬品在庫の処理、不要になった調剤室のリフォームと保健所手続き、配置される調剤薬局の最新の報酬改定を踏まえた連携など、実務面のハードルは低くありません。
そのため、単に処方箋を外に出すという表面的な対応に留まらず、調剤薬局の経営構造やクリニック側のレイアウト設計までを総合的に見通せる専門家のサポートを仰ぐのが賢明なルートです。当メディアでは、東京エリアで実績のあるクリニック開業・経営支援会社を調査し、それぞれの強みや特徴をまとめて紹介しています。自院の状況に合わせた安全な院外移行や経営改善のために、ぜひ参考にしてください。
引用元:なの花東日本公式HP(https://www.msnw-kaigyou.jp/)
引用元:PHCメディコム公式HP(https://www.phchd.com/jp/phcmn)
引用元:アプト公式HP(https://www.iinkaigyo-navi.net/)
【3社の選定理由】
2022年3月17日時点「クリニック開業 東京」「医院開業 東京」とGoogle検索して表示された59社の中から、本格的な診療圏調査を無料で提供している会社の内、3社を以下の理由により選出。
なの花東日本(メディカルシステムネットワークグループ)…該当企業の中で唯一、開業のコンサルティング費用が無料で、自社でテナント(医療ビル・モール等)を企画開発している。
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