クリニックを新しく開業する際、その存在を地域の方々に知ってもらうための広報活動は欠かせません。しかし、医療に関する広告は、一般的なサービスとは異なり、人の生命や健康に直結するため、法律によって厳格なルールが定められています。法律を守り、適切な広告を出すことが大切です。
医療広告規制が目指す目的は、「患者保護」です。医療は専門性が高く、サービスを受ける患者側が、広告を見ただけではその質を正確に判断することが難しいという特性を持っています。もし不適切な広告によって誤った治療を選んでしまった場合、その影響は計り知れません。国は、患者が客観的な情報に基づいて選択できる環境を作りたいと考えています。
この目的を達成するため、医療広告は「原則として禁止し、例外的に認められた内容(ポジティブリスト)のみ広告できる」という枠組みを採用しています。一般的な広告とは考え方が根本から異なっている点を、まずはしっかりと理解しておきましょう。
どのような情報発信が規制の対象となる「広告」にあたるのでしょうか。法律上は、「患者を誘い込む意図がある(誘因性)」、「クリニック名が特定できる(特定性)」、「誰でも見ることができる(認知性)」という3つの要件をすべて満たすものとされています。
この定義は幅広く、チラシや看板はもちろんのこと、クリニックの公式ウェブサイトやSNSアカウントも規制対象の「広告」に含まれます。ウェブサイトは情報発信の要となるため、規制の対象であることを強く認識しておかなければなりません。
また、一見すると広告に見えないものにも注意が必要です。例えば、費用を支払って雑誌に記事のように掲載してもらう「記事風広告」や、患者に便宜を図って良い口コミを投稿させる行為は、誘因性があると見なされ規制対象となります。
意図していなくても、法律で禁止されている表現を使ってしまうことがあります。注意したいのが、「虚偽広告」と「比較優良広告」です。医学的にあり得ない「絶対安全」といった表現や、根拠を示さずに「患者満足度99%」と謳うことは虚偽にあたります。「地域No.1」や「最高の医療」といった最上級の表現、また「モデルの〇〇さんも推薦」といった著名人の利用をアピールする表現も、他院より優れていると示す比較広告として禁止されています。
事実であったとしても、患者に過剰な期待を抱かせる「誇大広告」も認められません。「最先端の治療」といった曖昧な表現や、医療機関の開設許可のように当然のことを特別であるかのように強調する表現も、これに該当する場合があります。
また、治療の効果に関する患者個人の「体験談」や「喜びの声」は、内容が事実であっても広告に掲載することは全面的に禁止されています。これらはあくまで個人の感想で、すべての人に当てはまる効果ではないものです。患者に誤解を与える可能性が非常に高いため、禁止されていると認識しておくとよいでしょう。
禁止事項が多い一方で、もちろん広告として認められている内容もあります。医師の氏名や略歴、診療所の名称や所在地、診療時間、導入している医療機器の名称などは、患者が医療機関を選ぶ上で客観的に必要な情報として広告が可能です。
さらに、患者が自ら情報を探しに来るウェブサイトについては、特別なルール「限定解除」が設けられています。これは、定められた要件を満たすことを条件に、通常は広告できない内容も掲載できるようになる仕組みです。問い合わせ先の明記や、自由診療(保険外診療)に関する詳しい内容、費用、そして主なリスクや副作用までを分かりやすく記載することが必須となります。
この要件を満たせば、例えば「スポーツ外来」といった専門外来名を記載したり、治療前後のいわゆる「ビフォーアフター写真」を掲載したりすることも可能になります。ただし、写真を掲載する際は、その症例の治療内容、費用、期間、リスクなどを必ず写真の近くに併記し、写真の加工や修正は一切行ってはなりません。
広告規制に違反している疑いがある場合、まずは管轄の保健所から改善を求める「行政指導」が行われるのが一般的です。もし指導に従わない場合や、内容が悪質な場合には、広告の中止や是正を命じる「命令」が出され、これにも従わなければ罰則の対象となる可能性があります。
近年は、厚生労働省の委託事業として「医療機関ネットパトロール」が実施されており、ウェブサイト上の不適切な表現に対する監視の目も厳しくなっています。「誰も見ていないだろう」という考えは通用しないと認識すべきです。
広告の表現に迷った時や、ウェブサイトを公開する前に不安がある場合は、クリニックの所在地を管轄する保健所に相談することが最も確実な方法です。事前に相談し、確認することは、意図しない違反を防ぐためのリスク管理と言えるでしょう。
医療広告規制は、クリニックの活動を制限するためではなく、患者が適切な医療を選択できるよう保護し、医療界全体の信頼性を保つために存在します。これらのルールは一見複雑に感じられるかもしれませんが、その本質は、患者に対して客観的な事実を誠実に伝えるという、医療専門職としての姿勢そのものです。規制を正しく理解し、透明性の高い情報発信を心がけていきましょう。
引用元:なの花東日本公式HP(https://www.msnw-kaigyou.jp/)
引用元:PHCメディコム公式HP(https://www.phchd.com/jp/phcmn)
引用元:アプト公式HP(https://www.iinkaigyo-navi.net/)
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