東京でクリニックの開業を検討している医師の方に向けて、開業準備の進め方や診療圏調査、エリア・物件選び、資金調達、行政手続き、スタッフ採用、開業前の集患など、疑問を持ちやすいポイントをFAQ形式でまとめました。
東京都内は、都心部のオフィス街、住宅地が広がる23区、多摩地域など、エリアによって人口構成や患者の生活動線、競合医療機関の数が大きく異なります。そのため、単純に「人口が多い」「駅から近い」といった条件だけでなく、候補地ごとの診療圏や競合状況を確認しながら開業計画を立てることが重要です。
クリニック開業には、診療圏調査、物件選定、事業計画、資金調達、設計・施工、医療機器の選定、スタッフ採用、行政手続きなど多くの工程があります。勤務医として診療を続けながら準備を進めるケースも多いため、最初に全体像を把握しておきましょう。
まず整理したいのが、「誰に、どのような医療を提供するクリニックにするのか」という開業コンセプトです。診療科だけでなく、対象患者、専門外来、診療時間、検査内容、将来的な訪問診療への対応なども検討します。
その後、希望エリアの診療圏調査を行い、想定患者数や競合医療機関を確認しながら事業計画を作成します。物件を先に契約すると、診療圏が想定と異なっていたり、必要な設備を設置できなかったりする可能性があるため注意しましょう。
例えば「駅前で働く世代を対象にする」「住宅地で地域のかかりつけ医を目指す」「専門外来を中心に広域から患者を集める」など、コンセプトによって適した立地は変わります。希望条件だけで場所を決めず、診療圏と事業性を照らし合わせることが大切です。
必要な期間は診療科や物件、開業形態によって異なります。物件選定、融資、設計・施工、医療機器の納品、採用、行政手続きなどにはそれぞれ時間がかかるため、希望する開業日から逆算して準備します。
特に東京では条件のよい医療物件に複数の開業希望者が集まることも考えられます。一方で、物件取得を急ぎすぎると十分な診療圏調査ができない可能性もあるため、物件探しと事業計画を並行して進めることが重要です。
具体的な開業地が決まっていない段階でも準備できます。むしろ、物件を探す前に希望する診療内容、開業資金、働き方などを整理した方が候補地を比較しやすくなります。
開業支援サービスの中には、「東京23区で考えている」「城西・城南エリアを希望している」「多摩地域も含めて検討したい」といった段階から診療圏や物件について相談できるところもあります。
東京でのクリニック開業では、エリア選定が経営に大きく影響します。東京都内は人口そのものが多い一方で、医療機関も多く、エリアによっては競合が集中しています。
また、住宅人口だけでなく、通勤・通学による昼間人口が多い地域もあるため、単純な居住人口だけで診療圏を判断しないことが重要です。
一概に「この区なら開業に向いている」と判断することはできません。千代田区・中央区・港区などでは昼間人口が多い一方、オフィス勤務者を対象とする医療機関も多く存在します。
世田谷区・練馬区・江戸川区など住宅人口の多い地域でも、駅や住宅地ごとに競合状況は異なります。また、多摩地域では自動車やバスを利用して来院する患者も想定されるため、23区とは異なる立地条件を確認する必要があります。
人口、年齢構成、昼間人口、競合、患者の交通手段を組み合わせて判断することが重要です。
診療圏調査では、開業候補地を中心として、人口や年齢構成、競合医療機関などを分析し、どの程度の患者が見込めるかを検討します。
東京では駅ごとの利用者や鉄道路線、商業施設、オフィス、住宅地などによって人の流れが大きく変わるため、単純な半径だけで患者の移動範囲を設定するのではなく、実際の生活動線を考えることが重要です。
複数の候補地を検討している場合は、同じ条件で診療圏調査を行うことで、立地ごとの違いを比較しやすくなります。
対応範囲は会社によって異なりますが、診療圏調査のみ相談できる開業支援サービスもあります。候補物件を契約する前に患者数の見込みを確認したい場合や、複数エリアを比較したい場合に活用できます。
診療圏調査の結果は、物件選びだけでなく、金融機関へ提出する事業計画やスタッフ数、設備投資を検討する際の参考にもなります。
確認した方がよいでしょう。東京都内では、居住人口と昼間人口に大きな差があるエリアがあります。オフィス街では平日日中に多くの人が集まる一方、休日は人通りが減る場合があります。
反対に住宅地では、日中の人口が少なくても、夕方や土曜日に受診ニーズが集まる可能性があります。
診療科や診療時間を検討する際には、「誰が、何曜日・何時頃にその地域にいるのか」まで考えることがポイントです。
駅前はアクセスや視認性に優れる一方で、賃料が高く、競合クリニックが集中していることもあります。そのため、駅から近いことだけを理由に物件を決めることは避けましょう。
駅から数分離れていても、住宅地や商業施設からの生活動線上にあり、競合が少なければ患者に選ばれる可能性があります。
駅距離・賃料・競合・患者動線を総合的に評価することが重要です。
東京都内では、ビルテナント、医療モール、医療ビル、戸建てなどさまざまな形態でクリニックを開業できます。物件価格や賃料だけでなく、診療科に必要な設備や患者動線まで考慮しましょう。
東京23区では、ビルテナントや医療モールで開業するケースが多く見られます。土地取得を必要としないため、戸建てより初期投資を抑えられる場合があります。
一方、多摩地域などでは駐車場を確保した戸建て型も選択肢になります。戸建ては設計の自由度が高い一方、土地・建築費や開業までの期間を考慮しなければなりません。
賃料や広さだけでなく、医療機関として利用できる物件かどうかを確認しましょう。診療科によっては給排水、電気容量、床荷重、医療機器の搬入経路、防音などが重要になります。
さらに、患者・スタッフの動線、エレベーター、バリアフリー、看板の設置条件なども確認します。
希望する診療内容に対して必要な診察室、処置室、待合室などを配置できるか確認しましょう。物件契約後に構造上の問題が判明すると、追加工事や計画変更が必要になる可能性があります。
医療モールでは複数の異なる診療科や調剤薬局などが集まることで、患者にとって利用しやすくなる可能性があります。異なる診療科同士で患者を紹介しやすい点も特徴です。
また、駅前や商業施設内など、一定の人流がある場所に企画されるケースもあります。
入居診療科、周辺人口、競合、賃料などによって状況は異なります。物件の特徴だけでなく、医療モールそのものの診療圏調査を確認することが重要です。
クリニック開業では、物件取得費、内装工事費、医療機器などの初期費用に加えて、開業後の運転資金も必要です。特に東京では物件によって賃料の差が大きいため、立地と固定費のバランスを考える必要があります。
必要な資金は診療科や開業形態によって異なります。物件取得費、内装・設備、医療機器、電子カルテ、家具・備品、採用、広告などが主な開業費用です。
東京では好立地ほど賃料が高くなりやすいため、「患者を集めやすそう」という理由だけで高額な物件を契約すると、固定費が経営を圧迫する可能性があります。
想定患者数と毎月の固定費のバランスを確認したうえで物件を選ぶことが重要です。
開業資金をすべて自己資金で用意する必要はなく、金融機関の融資や医療機器のリースなどを活用する方法があります。
融資では自己資金だけでなく、医師としての経歴、診療圏調査、事業計画、想定患者数、収支予測、返済計画なども確認されます。
そのため、「なぜこの場所で開業するのか」を数字で説明できる事業計画を作成することが大切です。
必要です。開院直後から想定どおりの患者数になるとは限りませんが、賃料、人件費、リース料などの支払いは発生します。
特に東京で賃料の高い物件を選ぶ場合は、患者数が計画を下回った場合にも経営を続けられるよう、十分な運転資金を確保しておくことが重要です。
購入は長期間使用する場合に総支払額を抑えられる可能性がある一方、開業時の支出が大きくなります。リースは初期支出を分散しやすい反面、契約期間や総額を確認する必要があります。
開業時からすべての設備をそろえるのではなく、診療に必要な機器と患者数に応じて追加できる機器を分けて考えることも、過剰投資を防ぐ方法です。
クリニック開業には、医療法に基づく開設手続きと、保険診療を行うための保険医療機関指定申請などが必要です。東京都内でも所在地によって管轄保健所が異なるため、候補地が決まった段階で確認しておきましょう。
原則として、診療所の所在地を管轄する保健所へ申請・届出を行います。東京23区では各区の保健所、多摩地域では地域によって東京都の保健所や自治体保健所などが担当します。
所在地によって提出先が異なるため、物件が決まったら管轄保健所を確認しましょう。
異なります。医師が個人名義で診療所を開設する場合は、原則として開設した日から10日以内に診療所開設届を提出します。
一方、医療法人などが診療所を開設する場合には、開設前に診療所開設許可を受ける必要があります。許可後に診療所を開設し、開設後10日以内に開設届を提出します。
構造設備などについて確認が必要になるため、どちらの場合も計画段階で管轄保健所へ事前相談しておくことが重要です。
健康保険を利用した診療を行うには、診療所の開設手続きとは別に、関東信越厚生局へ保険医療機関指定申請を行う必要があります。
保険医療機関の指定は原則として毎月1日付で行われます。申請期限も設定されるため、希望する開業日から保険診療を開始できるようにスケジュールを確認しましょう。
相談しておくとよいでしょう。東京都の保健所でも、新規開設時には構造設備などについて計画段階で事前相談するよう案内しています。
物件を契約してから希望するレイアウトが認められないことが分かると、追加工事や物件変更が必要になる可能性があります。平面図や開業スケジュールが見えてきた段階で相談することが重要です。
2026年4月1日から、外来医師が特に多い地域について都道府県が「外来医師過多区域」を指定できる制度が始まりました。
外来医師過多区域で無床診療所を新たに開設する場合、原則として開設日の6か月前までに、地域で必要とされる外来医療への対応意向などを届け出る仕組みがあります。
2026年3月に国が公表した候補区域では、東京都内の区中央部、区西部、区西南部、区南部、区西北部が候補に含まれています。
国が公表した候補区域が、そのまま外来医師過多区域として指定されるわけではありません。東京都は2026年4月24日時点で、指定区域や地域で特に必要とされる外来医療について検討中としています。
都内で無床診療所を開業予定の場合は、物件契約や開業日を決める際に東京都の最新の指定状況を確認しましょう。
クリニック開業では、物件や医療機器だけでなく人材確保も重要です。東京には医療従事者が多い一方で、周辺医療機関も求人を出しているため、勤務条件やアクセスなども採用に影響します。
看護師、医療事務、検査技師など、必要な職種と人数を整理したうえで求人を開始します。採用後には電子カルテや受付業務、診療補助などの研修期間も必要です。
開業直前に採用を始めるのではなく、求人掲載、面接、内定、研修までを開業スケジュールに組み込んでおきましょう。
患者だけでなくスタッフにとっても通勤アクセスは重要です。駅から遠い場合、求人応募者の範囲が狭くなる可能性があります。
立地を選ぶ際には、患者の診療圏だけでなく、スタッフが通勤しやすいエリアかどうかも考慮するとよいでしょう。
必要以上に採用すると、人件費が固定費として経営を圧迫する可能性があります。一方、人数が不足すると待ち時間やスタッフ負担につながります。
診療圏調査による想定患者数、診療内容、予約システムなどを踏まえて必要人数を検討しましょう。
東京は患者となる人口が多い一方、医療機関も多いため、クリニックを開院しただけで患者に認知されるとは限りません。開業前から診療内容や場所を適切に周知しておくことが重要です。
患者がクリニックを選ぶ際には、診療内容、アクセス、診療時間、予約方法などをWebで確認するケースがあります。開業前からホームページを公開しておけば、地域住民に開院予定を知らせることができます。
ただし、医療機関の広告には医療広告規制があります。過度な表現を避け、患者が受診を判断するために必要な情報を正確に掲載しましょう。
クリニックの場所や診療時間などを検索する患者に向けて、Googleマップ等の情報を整備する方法があります。SNSも診療スケジュールや院内情報を伝える手段として利用できます。
一方で、Web施策だけに頼るのではなく、看板、地域への案内、医療機関との連携などを含めて、対象患者に合う方法を組み合わせることが重要です。
内覧会は、開業前に院内設備や院長・スタッフを地域住民へ知ってもらう手段のひとつです。
ただし、診療科や地域性によって効果は異なります。内覧会を行う場合も、単に来場者数を増やすのではなく、実際の診療圏に住む人へ情報を届けられているかを意識しましょう。
クリニック開業では、診療圏、不動産、融資、設計・施工、医療機器、採用、広告、行政手続きなど幅広い知識が必要です。勤務医として診療しながらすべてを管理することが難しい場合には、開業支援サービスを活用する方法があります。
対応範囲は会社によって異なりますが、診療圏調査、物件選定、事業計画、資金調達、設計・施工会社の選定、医療機器、採用、広告、開業手続きなどを相談できるサービスがあります。
各工程を別々に依頼する場合は院長自身がスケジュールを管理する必要があるため、どこまで一括してサポートしてもらえるかを確認するとよいでしょう。
クリニック開業支援には、有料だけでなく無料で利用できるサービスもあります。無料でも、診療圏調査、物件選定、事業計画、資金調達、採用、広告など幅広く対応している場合があります。
無料で支援できる仕組みは会社によって異なり、調剤薬局や医療モールなど関連する医療事業と組み合わせて開業支援を行っているケースもあります。
料金だけでなく、支援内容・物件情報・開業実績・開業後のサポートまで比較することが大切です。
物件紹介まで対応しているサービスがあります。一般的な不動産物件だけでなく、医療モールや医療ビルを自社で企画・開発している開業支援会社もあります。
物件情報の多さだけでなく、診療圏調査をしたうえで自分の診療科に合う物件を提案してもらえるかを確認するとよいでしょう。
医療モールの企画・開発や入居支援まで対応している会社もあります。
医療モールで開業する場合には、物件条件だけでなく、他の入居診療科との組み合わせ、調剤薬局の有無、患者動線、周辺人口なども確認する必要があります。
そのため、医療モール物件を検討する際は、物件紹介だけでなく診療圏や事業計画まで相談できるかを確認しましょう。
クリニック経営では、開業後に患者数やスタッフ採用、集患、経営状況などの課題が生じる場合があります。
開業後の患者数が事業計画を下回った場合の改善策や、追加採用、広告施策などまで継続して相談できるサービスもあります。
「開院まで」ではなく「開院後の経営まで」どこまでサポートしてもらえるかも比較ポイントです。
開業支援会社を比較するときは、料金だけでなく支援範囲や東京での実績を確認しましょう。
特に初めて開業する場合には、工程ごとに異なる業者と調整する負担も考慮し、診療圏調査から開業後まで一貫して相談できる体制があるかを確認しておくとよいでしょう。
東京でのクリニック開業では、患者となる人口が多い一方で、医療機関の競合も多いため、単純な人口や駅距離だけでは開業候補地を判断できません。
23区と多摩地域、オフィス街と住宅地、駅前とロードサイドなどによって患者の生活動線は変わります。また、2026年からは外来医師過多区域に関する新制度も始まっており、地域によっては今後新たな手続きが必要となる可能性があります。
物件を見つけてから診療圏を調べるのではなく、診療圏調査と事業計画を行ったうえで物件を選ぶことが、開業後のミスマッチを防ぐポイントです。候補地選びや資金計画、物件探しを一人で進めることが難しい場合には、東京での開業実績を持つ支援サービスへの相談も選択肢となります。
引用元:なの花東日本公式HP(https://www.msnw-kaigyou.jp/)
引用元:PHCメディコム公式HP(https://www.phchd.com/jp/phcmn)
引用元:アプト公式HP(https://www.iinkaigyo-navi.net/)
【3社の選定理由】
2022年3月17日時点「クリニック開業 東京」「医院開業 東京」とGoogle検索して表示された59社の中から、本格的な診療圏調査を無料で提供している会社の内、3社を以下の理由により選出。
なの花東日本(メディカルシステムネットワークグループ)…該当企業の中で唯一、開業のコンサルティング費用が無料で、自社でテナント(医療ビル・モール等)を企画開発している。
PHCメディコム…該当企業の中で、医院継承に対応し、最も多くの医療ITシステムを開発している。
アプト…該当企業の中で、23区、23区外(諸島部除く)戸建て物件の紹介数が最も多く、不動産仲介業や建築工事業を行っているため、自由度の高い物件を見つけることができる。