医療モール・医療ビルでの開業を検討し始めると、まず気になるのが費用感です。当メディアでは開業費用全体の内訳を紹介する記事も別途用意していますが、そこで扱っているのは内装・医療機器・運転資金といった開業費用全般の目安であり、テナント契約特有の初期費用については踏み込んでいません。
医療モールや医療ビルはテナント契約という性質上、保証金・敷金・共益費・造作譲渡料など、戸建てや自己所有物件での開業とは異なる費用項目が発生します。この記事では、こうしたテナント特有の費用に絞り、東京都内での相場の目安や、資金計画で押さえておきたいポイントを、複数の不動産・開業支援コラムの情報をもとに整理します。
医療モール・医療ビルは、オーナーや運営会社が所有・企画する物件を借りて開業する形態のため、契約時にまとまった初期費用が発生します。代表的な項目は、保証金(敷金)、礼金、前家賃、仲介手数料、月々の賃料と共益費、そして居抜き物件の場合は前テナントの内装・設備を引き継ぐための造作譲渡料です。これらは、開業費用全体(内装・医療機器・運転資金など)に上乗せされる費用であり、総額を見誤ると資金計画が狂う原因になります。開業費用全体の目安については別記事でまとめていますので、まず全体像を押さえたうえで、本記事でテナント特有の項目を確認することをおすすめします。なお、仲介手数料は賃料の1ヶ月分程度が目安とされ、契約する不動産会社によっては割引・無料になるケースもあるようです。保証金だけでも数百万円規模になり得るため、開業資金全体に占める割合を早めにシミュレーションしておくことが重要です。
東京都内のクリニック向けテナントの賃料は、坪あたり月額1万5,000〜3万円程度が一つの目安とされ、駅前や人気エリアではさらに高くなる傾向があるようです。医療モール・医療ビルは集患力や設備面でのメリットがある一方、一般的なテナントより賃料がやや高めに設定されているケースもあるとされています。家賃の妥当性を判断する目安として、月額医業収入のおおむね6〜8%程度に収めるという考え方が複数のコラムで紹介されています。あわせて、共益費は賃料の5〜10%程度が一般的なテナント契約の目安とされています。医療モールの契約事例のなかには、坪あたり2,000〜3,000円程度の共益費が設定されていたケースも紹介されていますが、これは個別の物件・交渉事例に基づくものであり、市場全体の相場を保証する数値ではない点にご留意ください。医療モールでは共用部の維持管理や警備・清掃などのサービスが手厚い分、共益費が個人所有の物件より高めになる傾向があるとの指摘もあり、賃料と合わせた月々の固定費として捉えておく必要があります。坪単価は同じエリア内でも階数や道路への面し方、駅からの距離によって差が出やすいため、提示された金額だけで判断せず、近隣の複数物件と比較したうえで検討することをおすすめします。
保証金(敷金)は、一般的なテナント契約では賃料の10〜12ヶ月分程度が目安とされています。医師という職業の信用力や収入の安定性を理由に、契約交渉の中で月数が調整された例も紹介されており、提示された条件をそのまま受け入れる前に確認してみる価値はありそうです。このほか、礼金は賃料の1〜2ヶ月分、前家賃は2〜3ヶ月分程度が目安とされます。内装工事費は、スケルトン物件の場合で坪あたり40万〜100万円程度が相場の目安とされています。診療科目や設備(レントゲン室の有無など)によって幅が生じやすい点にも注意が必要です。一方、居抜き物件を選ぶ場合は、前テナントの内装・設備を引き継ぐ対価として造作譲渡料が発生し、開業からの経過年数や設備の状態によって数百万円から数千万円程度まで幅があるとされています。いずれの金額も交渉の余地がある項目とされており、複数物件を比較したうえで妥当性を見極める姿勢が重要です。また、保証金は契約終了時に一部が償却され、原状回復費用に充当される仕組みが一般的です。償却割合や原状回復の範囲は契約書によって異なるため、契約前に条件を確認しておくとトラブルを避けやすくなります。
医療モール・医療ビルは、個人オーナーから直接借りる一般的なテナントと異なり、運営会社が物件全体を企画・管理したうえでクリニックを誘致する形態です。共用部の設備投資やテナント誘致にかかるコストが賃料・共益費・保証金に反映されやすく、結果として初期費用が重くなる傾向があるとの見方があります。そもそも医療モールとはどのような物件か、医療ビルとはどう違うのかを詳しく知りたい方は、当メディアの物件種別ガイドもあわせてご確認ください。費用面だけでなく、集患のしやすさや設計の自由度といった観点も含めて、自院に合う物件タイプかどうかを見極めることが大切です。更新料や契約年数、退去時の原状回復義務の範囲も一般的な賃貸オフィスと異なる場合があるため、契約前によく確認しておきたいポイントです。
テナント契約の初期費用は、必ずしも提示された条件がそのまま最終的な金額になるとは限りません。賃料や共益費、保証金の月数について、周辺相場や自身の事業計画をもとに交渉した結果、条件が改善したという事例も複数のコラムで紹介されています。また、医療モール・医療ビルは公開情報だけでなく非公開で募集されている物件も少なくないため、比較検討できる選択肢の幅を広げることも、納得のいく契約条件につながるポイントといえそうです。診療圏調査の結果や資金計画とあわせて複数物件・複数条件を並べて検討できる体制を整えておくと、交渉の場でも根拠を持って条件を提示しやすくなります。
当メディアでは、東京エリアでクリニックの開業・経営を支援する会社を調査し、それぞれの強みや特徴をまとめて紹介しています。医療モール・医療ビルでの開業を検討する際の、物件選びや費用交渉の相談先を探す参考にしてください。
引用元:なの花東日本公式HP(https://www.msnw-kaigyou.jp/)
引用元:PHCメディコム公式HP(https://www.phchd.com/jp/phcmn)
引用元:アプト公式HP(https://www.iinkaigyo-navi.net/)
【3社の選定理由】
2022年3月17日時点「クリニック開業 東京」「医院開業 東京」とGoogle検索して表示された59社の中から、本格的な診療圏調査を無料で提供している会社の内、3社を以下の理由により選出。
なの花東日本(メディカルシステムネットワークグループ)…該当企業の中で唯一、開業のコンサルティング費用が無料で、自社でテナント(医療ビル・モール等)を企画開発している。
PHCメディコム…該当企業の中で、医院継承に対応し、最も多くの医療ITシステムを開発している。
アプト…該当企業の中で、23区、23区外(諸島部除く)戸建て物件の紹介数が最も多く、不動産仲介業や建築工事業を行っているため、自由度の高い物件を見つけることができる。